WINDVANE

日々思ったこと、感じたことをつれづれなるままに。
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「ささはらさんを偲ぶ」
ニセコの太朗くんの電話で私たちの隣に住んでいたささはらさんが亡くなったことを知った。
ちょうど今日が出棺だったという。樺山分校のみんなで見送ったそうだ。

BUBUちゃんが描いたニセコの家の絵が突然届いたのは、
ささはらさんともつながっている気がした。

ちょっと不愛想で、味のある黒いジープに乗って、カメラが好きで、ジーパンが似合うささはらさんは
、私たちの家のすぐそばの樺山分校の用務員さんをしていて、一人で暮らしていた。
いろんな鳥がやってきていたささはらさんの家には、子どもたちもよく遊びにきていた。
樺山分校というのは、私たちが住んでいた頃は生徒10数人の複式学級で、
創立100年以上になる木造校舎の小さな山の小学校だ。
ささはらさんもうちもその樺山小の教職員住宅に住んでいた。
先生たちは古い教職員住宅に住むことはなかったので、長い間空き家になっていた。
荒れ放題になっていたところを、
太は、断熱材をいれ、畳を変え、壁を塗り手直しをたくさんして住めるようにしたらしい。
家の横に丸太を積んで作った物置は、
ささはらさんに丸太をもらって、教えてもらいながら作ったと言っていた。
ちなみに、その教職員住宅は町営になるのだけれど、なんと家賃8500円。
まわりの友達からは「平成の値段じゃないよね!」って言われていたけど、昭和でもなさそう。(笑)
そういえば、玄関や台所についていた扉のガラス模様は昭和の懐かしい柄だった。
実は太の家を最初に見たときは、けっこう驚いた。
トイレもくみ取りだったので、最初なかなか慣れず、
車で5分のコンビニまで用を足しに行っていたのも今では懐かしい思い出だ。

田舎暮らしのイロハを、太とささはらさんから私はずいぶん教えてもらった。
田舎で暮らすには、学力じゃなくて人間力が必要だってつくづく感じたものだ。
私が思う人間力って、車の修理ができたり、機械に強かったり
、野菜の作り方を知っていたり、野草や山菜に詳しかったり、
生活していく中で必要な知恵をもっていること。
東京っ子の太が、豪雪地帯のニセコで暮らし始めたときに、
お隣がささはらさんだったことはきっと幸運以外のなにものでもなかっただろう。
そして、二人はけっこうウマが合っていたんじゃないかと思う。

太は、家の前の道路に外灯がつけられそうになった時に
「月や星の明かりがあるんだから外灯はいらない。」って
ささはらさんと阻止したんだと言っていた。
私は、暗い夜道には外灯があったほうがいいだろうと思いこんでいたので、
その話を聞いたときに驚いたことを覚えている。
でもそこに住むうちに、太とささはらさんが言った意味がわかっていった。

ささはらさんを思い出すと太もセットで浮かんでくる。
うちの前には小川があって、釣り人がちょくちょくやってきていた。
私にはよくわからなかったのだけれど、イワナが釣れたりするようで、
釣り仲間の中ではたぶんちょっとした場所なんだと思う。
ここは秘密の釣り場でもあり、夏には子供たちの遊び場にもなる。
ささはらさんは、よく子供たちをこの川で遊ばせていた。
土管の中を、浮き輪をお尻に敷いて、すべり台のようにして遊ぶのだ。

ある夏の日、「太君、川底にガラスとか落ちてないか見てもらえないかい?」とささはらさんに頼まれた。
太は、水中メガネをして、サーフィン用のウエットスーツを着て、川に潜った。
丁寧にみたようだが、危ないものは何も落ちてなかった。
川からあがると、ささはらさんは、「ありがとう」、と、缶ビール2本をくれた。
太がウエットスーツのまま縁側に座り、
冷たいビールをグビグビっとおいしそうに飲む姿を
ささはらさんが嬉しそうにみていた顔が今でもありありと浮かぶ。

私たちが住んでいた家は、
私たちが札幌に引っ越した後すぐに取り壊されて更地になった。
ニセコに行くたびに、更地になった場所をみてはもの悲しく思っていたけれど、
ささはらさんの家があることで、太と自分とがいた痕跡を感じることができていた。
でも、そのささはらさんも旅立った。
私の中でなにかのサイクルが終わりを告げた気がした。

ささはらさんの家で、鉄瓶でわかしたお湯でいれてもらったお茶はいつもとても美味しかった。

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2017/03/05(日) 13:24:40 | ニセコでの生活 | Trackback(-) | Comment(-)
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